公共広告機構 CM 『黒い絵』 (by nikita0320)
" プレイヤーの見ていた画面は、玲音と柊子の記録しかない世界だ。玲音と柊子しかいない空間、と言い換えることができる空間である。誰とでもネットを介して「つながる」ことはできるけれど、同じ空間を生きる者はいない。柊子の言葉から、彼女達がそんな仲間を探そうとしていることがわかる。 ということは、ゲームを進めることによって、プレイヤーがその空間に入り込んでしまったのだろうか? だから一度エンディングを見ると、「ずっと一緒」で、玲音が名前を呼んで挨拶してくれるようになるのだろうか。 そう思ってしまえれば、なんということはない。だが、そうではない。 ふたりの空間にアクセスしたプレイヤーは、玲音と柊子のデータを「見た」…つまり、データをダウンロードしたのだ。そして「覚えた」…保存した。保存先は、プレイヤーの脳。つまり、データを見れば見るほど、覚えれば覚えるほど、プレイヤーの中に「玲音」が記憶として蓄積され、構築されていく。 だから、「ずっと一緒」なのだ。プレイヤーが「serial experiments lain」で見たものを覚えている限り、そして玲音のロジックを理解している限り、玲音はプレイヤーの中にいる。 「終わったよ」「始まったの」 さまざまな意味に取れるこのふたりの玲音の会話。ある意味でこれは、プレイヤーの中での玲音のいる世界が始まったということを示すようにも取れる。消去することは容易ではない。「アナザー・マインド」みたいに装置で消去したり移動させたりするわけにいかない。完全に忘れ去ってしまうまで、玲音はプレイヤーの中でくすくす笑うのだ。 ワイヤードを駆け抜ける少女に見せかけて、玲音は実は、自らをコピーさせ、増殖している…そう、プレイヤーの数だけ。 「いろんな人の中に”あたし”がいただけ」 …というのは、アニメの中の台詞だが、その”あたし”がもう一人増えたわけだ。"